市町村に都市計画マスタープランというものがあるのはご存じでしょうか。おそらくほとんどの方が知らないと思います。私の周りで土地、建物を売買している方ですら目を通しているかどうか…。
都市計画マスタープランとはなに?
那覇市の都市計画マスタープランに下のことが書いています。
…(省略)
「都市計画マスタープラン」は、総合計画の将来像の実現に向け、主にハード面からのアプローチによるまちづくりの目標や方向性を示すものです。…(省略)
また、都市計画マスタープランは、まちづくりのガイドラインの役割をもっています。都市計画法に基づく個別具体の都市計画の決定・変更を行う際や、まちづくりに関わる施策を総合的かつ体系的に展開していくための指針となり、市民のみなさんや事業者のみなさんなど、一人ひとりが身近なまちづくりを考える際の道しるべとなるものです。
(那覇市)都市計画マスタープラン 序章 都市計画マスタープランとは
この内容からわかる通り、都市計画マスタープランが那覇市のまちづくりのガイドラインとなります。長期的(今後20年)に那覇市がまちづくりをどのように発展させていこうとしているのかがわかります。
真和志地域のまちづくり方針
わたしたち事務所は那覇市寄宮にありますので、寄宮が含まれる真和志地域のマスタープランの一部を見てみたいと思います。
「4章 地域別まちづくり方針」ー「真和志地域」ー「地域の交通体系方針図」から画像を引用



目を通すと興味深い内容がたくさんあります。
そのなかでも、寄宮十字路(県道46号線と県道222号線との十字路)が「ライド&ライド」となっているのは、おもしろいなと感じました。「ライド&ライド」とは公共交通機関の乗り換え場所です。
(黄緑色)は「LRTなどの基幹的公共交通システム」となっています。
LRT(Light Rail Transit)とは
「LRT」とは聞きなれない言葉ですよね。国土交通省のサイトで下のように記載されています。
LRTとは、Light Rail Transitの略で、低床式車両(LRV)の活用や軌道・電停の改良による乗降の容易性、定時性、速達性、快適性などの面で優れた特徴を有する軌道系交通システムのことです。
近年、道路交通を補完し、人と環境にやさしい公共交通として再評価されています。
国土交通省
ちょっと難しい言葉が使われていますが、路面電車のことのようです。少し強調するとすると「最新の技術が反映された次世代の路面電車」ということです。
マスタープランではLRTの通る経路として、与儀十字路から県道222号線を真和志向けに通り、寄宮十字路から真玉橋までとなっています。
採算がとれるかなどのご意見は置いておき、これを見ると、「沖縄に路面電車がやってくる!」「そして、寄宮十字路に駅が!この地域が将来的に発展しそうな予感!」「将来的に発展するなら、いい土地がでたら買いたい。」などと考えてしまいます。
那覇市都市計画マスタープランの見直しについて
そうとはいえ、本マスタープランには下のような記載もあります。
本マスタープランは、総合計画の将来像の実現に向け、主にハード面からのアプローチによる目標や方向性を示したもので、概ね 20 年間を見据えた都市計画の基本的な方針を示す計画です。「20 年間の計画」とは、通常の事業計画のように「20 年後にここまで完成させる」というゴールを定めるものではなく、「今後 20 年間は、この方向を向いて進む」という施策の方向性や基本姿勢を表すものです。定期的な改定という考え方ではなく、上位計画である「那覇市総合計画」や、「那覇広域都市計画『都市計画区域の整備、開発及び保全の方針』(那覇広域都市計画区域マスタープラン)」などの改定のほか、社会情勢の変化、大規模プロジェクトなど、本市全体に共通する基本的な施策の変化があった場合などは、必要に応じて見直しを実施します。
(那覇市)都市計画マスタープラン 5章 まちづくりの進め方 4.都市計画マスタープランの見直しについて
また、第 4 章の「地域まちづくり方針」は、第 3 章の「分野別まちづくり方針」の範囲内において、各地域に暮らす多様な人々との協働による計画の具体化や個別事業の進捗等に応じて、柔軟に見直しを行っていくものとします。
このような記載もある通り、都市計画マスタープランはゴールではないので20年後にLRTが実現できているかわかりませんね。正直、この先20年なんて誰もわからないです。
それでも都市計画マスタープランを見る価値はある
20年先のことなんて誰もわからないので、都市計画マスタープランはあてにならないのかというと、そうではありません。冒頭に書いたとおり、都市計画マスタープランは那覇市のガイドラインとなりますので、その方向にまちづくりの予算がたてられ開発が決進んでいきます。大きな計画は簡単にはいかないでしょうが、実行可能な計画はガイドラインに沿って開発がすすんでいきます。
寄宮にある会社として一言!
今の寄宮は開発が進んでいないように見えますが、都市計画マスタープランを見ると、絶対にいい地域になりますよ!みなさん、目をつけておいてくださいね。